プロメテウスの試練: 「宅配ボックス」の冒険と挑戦

高級賃貸物件の設備シリーズ―今度のスポットライトは「宅配ボックス」である。神話の中で火を人間に与えたプロメテウスのように、何を我々にもたらしたのかというと、それは時間を問わずにやってくる宅配便である。

宅配便は郵便物とは一線を画し、相手に確実に荷物を手渡すという名誉な使命を背負っている。集合住宅であれば、宅配業者は部屋まで足を運んで印鑑をゲットする。しかし、一人暮らしの若者や共働きのカップルにとっては、宅配便とのダンススケジュールは一筋縄ではいかない。

そうしてポストが不在通知書の海に飲み込まれていく。休日に受け取ればいい、とはいえ、その休日が本当に存在するのだろうか。これが現代の我々が直面する数々のパズルの一つである。

そこでそのパズルを解く鍵となるのが「宅配ボックス」だ。たとえ受取人が不在でも、業者はエントランスにあるボックスに荷物を預けることができる。この神秘的なテクノロジーのおかげで、我々は深夜に帰宅しても荷物を受け取ることができるのである。また、業者と直接の荷物の受け渡しの必要がないため、偽装業者から身を守ることもできる。

しかし全てが華色とは限りらない。直接業者から荷物を受け取るほうが安心だったり、大きな荷物を通販で購入した場合は結局自分で受け取らなければならない場合もある。

トヨタのCMを見て、何度もどこでもドアを使ってものび太がしずかちゃんの元へたどり着けないのは、ただの偶然ではなかったと気づく。年月が流れても、しずかちゃんは「のび太さんのエッチ!」と言いたいのだが、のび太は年を重ねてもそんな愛する女性の心に気づかないのである。

どこでもドアは「自分の行きたいところに連れていってくれる道具」だが、のび太としずかちゃんの気持ちが一致しなければ、バスルームにはたどり着けない。それ故に、二人が本当に結婚するのかどうか、永遠に結論が出ない「ドラえもん」こそ、至高のラブストーリーだったのである。

どれだけ便利なツールがあろうとも、それが善にも悪にもなるのは使う人間次第である。トヨタのCMクリエーターも「ドラえもん」というツールを使って、見事な世界観を描いている。

宅配ボックスが設置されている高級賃貸物件に住むこと―それは男性が自身の人間力を試される舞台、私たちの"プロメテウスの試練"なのである。

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2023年7月20日

執筆者: 川浦剛志