ウォークインクローゼット

高級賃貸物件の設備シリーズ、今回は「ウォークインクローゼット」、略して「WIC」について考えてみよう。WICとは、その名の通り歩いて中に入ることができる大きなクローゼットのことだ。一般的なクローゼットとは比べものにならない広さと機能性を持ち、まるで部屋の中にもう一つの部屋があるかのような存在感を放つ。

近年、このWICの需要が急増している背景には、現代人のライフスタイルの変化がある。国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、2023年度の新築マンション購入者の約70%がWICを重視すると回答している。これは10年前と比べて約20ポイントも上昇した数字だ。

WICの魅力は、単なる収納力だけではない。それは、暮らしの質を向上させる多機能空間としての可能性を秘めているのだ。例えば、ファッションデザイナーの山本耀司氏は、「服を選ぶってのは人生を選ぶってことだ」という名言を残している。WICは、まさにこの言葉を体現するような空間だ。洋服を選び、コーディネートを楽しむ。そんな創造的な時間を過ごすための特別な場所として機能するのだ。

また、WICは家族の絆を深める設備にもなりうる。子供の成長と共に変化する収納ニーズに柔軟に対応できるため、親子で一緒に整理整頓を楽しむことができる。これは家族のコミュニケーションを促進し、子供の自立心を育む良い機会となるだろう。

さらに、WICは在宅ワークの増加に伴い、新たな役割を担いつつある。収納力を活かして、仕事用の書類や機材を整然と保管しつつ、必要に応じて簡易的なワークスペースとしても活用できるのだ。

WICは単なる物置ではない。それは、現代の暮らしに欠かせない多機能空間なのだ。家族の思い出が詰まった大切な品々を守り、日々の生活に彩りを添え、時には新たな可能性を生み出す。そう、WICは男が自らの人生を豊かに彩るためのキャンバスなのである。

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執筆者: 川浦剛志