高級賃貸物件の選定条件として頻繁に名前が上がるのが「フロントサービス」または「コンシェルジュサービス」である。
「コンシェルジュ」の言葉は、一般的にはホテルのサービスを思い起こさせる。この概念は週刊コミックパンチで連載されていた『コンシェルジュ』のような作品によく見られる。コンシェルジュ関連のサービスを行なうマリテームのウェブサイトによれば、「コンシェルジュ」は本来、建物の門番を指す言葉であった。19世紀のヨーロッパのホテルでは、この役職は部屋の鍵を管理し、最終的にはお客様の全ての要望に対応する役割を果たすようになった。
それに対して、Wikipediaでは「コンシェルジュ」はフランス語で「集合住宅の使用人」を意味すると述べている。現代のマンションのコンシェルジュは、入居者や来訪者の対応・宅配便やクリーニングの受け取りなど、我々がこれまでに紹介したオートロックや宅配ボックスのような設備の役割を人間が果たしてくれると考えられる。これは高級賃貸物件の極限といえるだろう。
このコンセプトはあまりにも便利すぎるためか、さまざまなコンシェルジュサービスが存在する。
・日本医療コンシェルジュ研究所:患者の代理人として最適な医療機関の選択や、セカンドオピニオンの提供、効率的な診療の推進などを行っている。
・東京コンシェルジュ:2001年4月1日から2013年3月31日まで放送されたJ-WAVEのラジオ番組。元フジテレビの八木亜希子が東京周辺の各種イベント情報を紹介していた。
・歌うコンシェルジュ:2010年4月1日から2012年3月30日まで放送されたNHK総合テレビの番組。歌手の秦万里子がNHK-EテレやBSの番組、美容法などの情報を歌いながら紹介していた。
・引越コンシェルジュ:引越しに関する問題を一元解決するサイトが様々な企業から提供されている。
・クラブコンシェルジュ:「日本の贅と美」をテーマに、予約困難な名店のリザーブやプレミアムなイベントへの招待など最上質なサービスを提供する富裕層向けの会員サービス。
これだけ名前と実態が「有用な存在」であるコンシェルジュは、高級賃貸マンションに住む人にとって非常に重要な存在である。一方で、コンシェルジュと「執事(ギャルソン)」や「メイド(女性使用人)」は全く異なるもので、決して「お帰りなさい、ご主人様」とはいわない。
コンシェルジュは住人から「命令を受ける」のではなく、「依頼を受けて行動する」ことが仕事である。それを理解して、彼らと適切にコミュニケーションを取ることが重要だ。
コンシェルジュサービス―これは男性にとって大人としての言動を求める価値ある存在なのである。